長年病院暮らしのエカピリオが、くだらない話をします。



筋ジストロフィー症、そこそこのお歳です。



※「ピリオ」命名:白黒音夢さん


2009年11月20日金曜日

フルボッコ伝説

私が今の病棟になる前、女の子姉妹が入院していました。お姉ちゃんは妹思いで面倒見が良く、光GENJIの振り付けを全てマスターするなど、いわゆるその世代の女の子でした。一方、妹ちゃんのほうは、病棟生活が短いせいか時々理解しがたい行動をとる子でした。例えば、いきなり大声で泣きはじめたと思ったら、「お金を食べちゃった~!!」というので周りを見たら小銭が散らばっていて、お医者さんがまさかとは思うが一応と、レントゲンを撮ってみたら10円玉の影が見つかったりとか、とにかく一般常識を覆してくれました。

で、ある時、その子がパンチンググローブみたいなものを手にはめて、軽くボクサーを気取っていまして、ちょっと遊びにつき合ってあげようと思い、「ちょっとパンチ打ってみて」と私は手をスパーリングの要領でかまえました。イメージでは、「右、はい次、左」的な軽い感じで。するとその子は渾身の力をこめて、パンチの連打を私の全身に浴びせてきたのです。

「ちょ、バシッ ちょっ、ドガッ ま、バシッ って…ドスッ 」
さらにラッシュは続くので、
「ストップーー!!」と叫んだのですが、この戦いにはタオルを投げてくれるセコンドはいない… そもそもルールなんて存在するのか? …いや、ない。妹ちゃんは完全に野獣の目をしていました。そして私は非力に狩られるインパラの様でした… で、とっさに出た言葉は…

「ギ…、ギブアップ!!」

ピタッ 勝利を確信した野獣は、やっとその手を止めたのでした…
こ、これは、プロレスルールだったのか…?
でもこれがストリートファイトだったら、私は死んでいたかもしれません…
ともあれ、そこに1人の女格闘家が誕生したことは言うまでもありません。

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