長年病院暮らしのエカピリオが、くだらない話をします。



筋ジストロフィー症、そこそこのお歳です。



※「ピリオ」命名:白黒音夢さん


2010年1月24日日曜日

オレの時代はこなかった…

最近、子供の頃の話ばかりなので、数年前の出来事を話したいと思います。
あれは病棟にLAN回線が引かれた頃のこと。友達が筋ジストロフィー症と向かう自分の生き様を綴ったホームページを立ち上げました。
やがてそのことはマスコミにも伝わり、テレビの取材が入ることになりました。テレビ番組は「IT革命 ~俺たちの時代が来た~」。ITを駆使した若者世代の生き方を紹介するもので、その1コーナーに彼の出番があり、ITにちなんで、ネット回線を通してスタジオとやりとりする時間が設けられました。本人曰く、生活の一部でもあり自分を育んでくれたのは患者会、とのことで私も役員として一緒にそのやりとりに加えてもらうことになりました。本人含めて、5名でした。
本番スタート。まずは自己紹介と、ITが発展したことで暮らしにどんな変化をもたらしたのかとか、あなたにとってITとは? みたいなことを聞かれました。他のみんなは緊張ながらもそつなくこなしていました。さあ、自分の番。

…あー、だめだ…

いきなりそう思いました。頭の中はもう真っ白。結果、話す言葉もしどろもどろになり、前に話した人とおなじことを反復するようなことしか言えずに終了しました。

数日後、実際の放送を見てみたら、名前の紹介テロップの数が1,2,3,4… あれ、4人分しかないよ!? …おれの名前が……ない?!!
なんと、私の下りが全部カットされていたばかりか、名前すら紹介されてなかったのです!! くっそー、あんなに一生懸命やったのに… おれは結局「患者A」でしかなかったのか…
放送を見たあと、担当ディレクターにメールをしました。逆にカットのことをひとつも触れず「我が町の自然と雰囲気がよく出ていましたね」と書いたら、私の気持ちが文ににじみ出てしまっていたのか、それを悟ったように、「出演していただいたのに申し訳ありませんでした。これがテレビというものでして… にも関わらず私たちの放送を褒めてまでくださって、恐縮です。」と返ってきました。
家族や親戚にもとても出演したとは恥ずかしくて言えず、初のテレビ取材はこうして幕を閉じたのでした…

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