昔、起き上がりこぼし風のビニール人形がありましたよね?
底の方に重りが入っていて、サンドバッグみたいに殴ってストレスを解消しようというもので、メタルヒーローとかオバケのQ太郎とかセーラームーンのやつまで、種類は多彩でした。
同室の小さい男の子がクリスマスプレゼントでもらったのがそのシリーズで、今はなつかしい女子プロレスは極悪同盟、ダンプ松本のビニール人形でした。アジャ・コングやジャガー横田の親分とでも言えば、皆さん想像がつくかと思います。しかもその人形、叩く振動にセンサーが反応してしゃべるという画期的なオモチャでした。
しかし、声が出ることを面白がって、何度も「コノヤロー!!、コノヤロー!!」」としゃべらせ続けたところ、電池がだんだん切れてきて、最終的に
「ぐぅぉの…やぁろぅおぉぉ……」
威勢のいいダンプ松本の声が、ポンコツロボットのようになってしまいました。オモチャながらその悲痛な叫びは、その頃世が染まっていた世紀末を彷彿させる、なんとも切ないものでした。
なのに男の子は通常の声より、世紀末の叫びのほうがすっかり気に入ってしまい、同室者の不快感をよそに何度もこの世の終わりを告げる悪魔のいななきを響かせ続けるのでした…
数日後、オモチャからこっそり電池が抜き取られていたことは、言うまでもありません…
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